投稿日:2017年6月3日
最終更新日:2017年6月5日

不要怕 不要悔

ある少年が、故郷を離れて広い世界で夢を広げてみることにしました。
家を出た少年は、村で最も尊敬されていた老人を訪ねて挨拶をし、心に刻んでおくべき言葉を言ってほしいと請いました。
筆で字を書いていた老人は、何も言わずに、三文字を書いてくれました。

「不要怕」
「恐れるな」という意味です。
老人は少年に言いました。
「坊や、人生の秘訣はきっかり六文字だよ。
今日三文字を教えてあげたから、君の人生の半分をこの文字のとおりに生きたなら、大きく間違うことはないだろう。」

三十余年が流れ、少年は中年になりました。
彼はある日、ふと自分の人生を振り返ってみて、ある程度の成功はしたけれど、心を痛める事が多かったと思いました。
彼は故郷に戻り、昔旅立つ時に、筆で字を書いてくれた老人を訪ねました。
老人の息子は「数年前に父が亡くなった」と言い、「久方ぶりに私を訪れる人がいたなら渡してあげるように」言われたと
彼に手紙を一通、くれました。

その時ようやく男は、三十年前に老人から聞いた人生の秘訣、「不要怕」を思い出しました。
そして手紙を開けてみたら、また別の三文字が書かれてありました。

「不要悔」
「後悔するな」という意味でした。

不要怕 不要悔(恐れるな 悔やむな)
「未来を恐れず、過ぎ去った日々を後悔するな」という意味です。

人生は私たちに、中年以前には恐れるな、中年以降には後悔するなという教訓を残しています。

(こちらの文章は、2017年6月3日に書かれたものです)