投稿日:2017年10月14日
最終更新日:2017年10月14日

義理

以前、流星胡蝶剣 という題の文章を書いたことがあります。

感銘深く読み、印象深く見た、武侠書の題名であり、映画タイトルでもあります。
内容の主題は義理です。

しかし奇しくも、その文章を感銘深く読み、私の映画の話に耳を傾けていた人たちが
その後次々と退会したのはどうした訳なのか、わかりません . . .^^

もともと義理という言葉は、日本に由来のある言葉です。
漢字では「義理」と書き、発音は「ギリ」です。

ある学者は
「日本の義理という思想は、中国や儒教から受け入れたものではなく
東洋の仏教から受け入れたのでもない。それは日本特有の範疇であって、
義理を考慮に入れなければ日本人の行動様式を理解するのは不可能だ」と言いました。

それで、「米国人は文書で、日本人は義理で、中国人は利害関係で、
韓国人は情で、契約をする」という言葉が生まれたようです。

義理という言葉を違う言い方で表すならば、恩に報いるという
報恩の意味があります。一人の主君のために忠誠を捧げるという日本のサムライ精神は
おそらくここに由来したものでないかと思います。

中国の三国志を見ると、劉備の義兄弟である関羽雲長の話が出てきます。
天下の英雄と呼ばれる関羽のイメージをあらしめたのも、やはり
武術ではなく、戦略でもなく、「義兄弟である劉備に対する義理を守った人物である」
という点が浮き彫りにされたものです。

道家に関羽雲長の名前を取った、雲長呪という呪文があります。
これは大借力呪であり、天下のすべての物の怪(もののけ)を治めると書いてあります。
中国には関羽雲長を奉った祠堂が軒を並べており、関羽雲長を象徴する木像と石造像、
そして幀画がいっぱいです。彼が義理の人物だったためです。

おそらく利害関係と利益と損失の計算に、度が過ぎるほど執着する中国人の情緒へ
関羽雲長の逸話を通して警鐘をならそうとする趣旨が含まれているようです。

すべては心持ちにかかっています。

心は動機付けによって、さまざまな現象を呼び起こします。
テレサ・エフェクト、ワインバーグ=サラム理論、プラシーボ効果など
特別な心が呼び起こす不可思議な作用ははかり知れません。

そのような意味で、私は義理という思いを重視します。
義理は人間の道理であり美徳でもありますが

精神と私を一体化させる最も大きな心の作用です。
精神と渾然一体になった人は、すべてのことを成し遂げることができます。

義理を持っている人は、決して考えの支配を受けません。

考えを支配する者、すなわち自覚する者だけが

義理を守ることができるのです。

(この文章は2016年01月25日に書かれたものです)